ちゃおちゃお的美術講座


「アダムとイブ」(すべてはここから始まった。)
 その昔ユダヤの神は一週間で天地を創造しますが、その最後の仕上げに自分の姿をかたどって人間を塵から作り上げます。これがアダム。最初の人間の男性です。その肋骨から最初の女性イブを作ります。神は二人をエデンの園に住まわせ、全ての果実を自由に取って食べることを許します。例外は「知恵の実」。神はアダムとイブに「この果実を食べたら死ぬ」と脅して食べることを禁じます。禁断の果実ですね。 
 この「知恵の実」の正体についてはいろいろな説があります。旧約聖書には「善悪を知る実」としか記されていませんが、その実を食べることによって人間が原初の状態を脱した存在になるものであることは間違いなさそうです。絵的にはリンゴであることが多いようです。
 そこに現れたのが蛇です。蛇はイブを言葉巧みにそそのかし、知恵の実を食べる決心をさせます。イブはアダムも誘い込み二人は「禁断の果実」を食べてしまいます。そしてそれはすぐに神にばれてしまいます。

 これが人類の苦難の始まりでした。神はアダムとイブをエデンから追放するだけでなく、さまざまな呪いを与えます。「死ななければならない」「生涯労働を続けなければならない」 特に女のイブには「妊娠をして苦しんで子を産まねばならない」「男のいうことを聞き、生涯つかえねばならない」等々。
 ユダヤ教によると人間はすべてこのアダムとイブの最初の罪「原罪」を受け継いでいます。つまり我々人間は生まれながらに罪人です。そしてイブの罪が重い分女性は汚れたものとされ、様々な差別を受けることになります。
 この後ノアやアブラハムなどが神と何回も契約を結び、守護と繁栄の約束を取りつけますが、基本的に人間が罪人であるという状況は変わりません。そのため人間は神の定めた実に様々な律法に永遠に盲従する義務を背負わされつづけるのです。このくびきから人間を解放するのがイエス−キリストなのですがその話は別の所で。

 さて人類は神の元を追いたてられ、エデンの東に住み、土を耕し始めます。アダムの息子カインは弟のアベルを殺して人類最初の「人殺し」をして追放されますが、その他のアダムの子孫は順調に増え、人類は次第に地上で力を持って行きます。そしてここから旧約聖書の世界が広がって行くのです。

 イブの罪も後にマリアがイエスを産むことであがなわれます。マリアをたたえる「アヴェマリア」という言葉は逆につづると、「罪深きイブ」となるそうです。結構オカルトチックなんですよ。

 

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