ちゃおちゃお的美術講座 |
聖母子 |
フィレンツェにはほんとに多くの聖母像があります。街ごとマリア様に献上されているかのごとき観さえあります。 聖母の絵では多くが膝の上に幼子イエスを抱いています。このような聖母子像は、中世〜ルネサンスを通じてずっと描かれ続け、愛され続けてきたモチーフなのです。 ウフィッツィ美術館の第2室にはチマブエ、ドウッチョ、マサッチョの手によるすこしずつ年代の異なる3枚の荘厳の聖母が並べられており、必見です。 |
聖家族 |
聖母子に聖ヨセフが加わると「聖家族」の絵となります。こちらは聖母子ほどは多くありません。 面白いのは、マリアの夫であるヨセフの描き方です。絵の中では、マリアにあわせてヨセフを美貌の若者に描くわけにはいきません。なにせマリアはこの後、生涯純潔をつらぬくのですから、あまり「男」を感じさせる精力的旦那さんが横にいるのは、絵的にまずいと思われたようです。 そこでヨセフは、とても女には手を出せそうに無い老人として表現されることが多いです。(ひょっとすると聖書のどこかに老人と書いてあるのかもしれませんが、 あ、でもルーブルで見た「大工の聖ヨセフ」という絵ではそれなりの若い人に描かれていました。)(追注;外典にヨセフは”男やもめ”という記述があるそうです。) そして彼は聖母子の「保護者」というような地位をあたえられます。 とは言うものの、彼に対する大衆の率直な評価は結構からかったようです。ちゃおちゃおの読んだ本では、昔のヨーロッパの川柳のような物の中でも「寝取られ男」などと揶揄されているのです。(最近のアメリカンジョーク集でも似たような内容のものがありました。) でも、彼は自分の使命を果たしたのだと思います。そして正しい人でした。ヨセフの保護の元にイエスは救世主への道を歩むのです。 彼はダビデの子孫でした。「ダビデの家系からメシアが出る」という旧約聖書の予言は、彼の存在によって成就しているのです。 |