ちゃおちゃお的美術講座


「キリストの洗礼」
 イエスはヨセフ、マリアと共にエジプトに逃れ、そこで幼少期を過ごします。聖書外典に「イエスの幼時物語」というのがあって、イエスが幼時に起こした奇蹟の話がいろいろ載っています。ちゃおちゃおはそれを直接には読んでいませんが、解説本でざっと読んだ限りでは、妙に頭が良かったり、平気で人をのろい殺したりしてまるで「オーメン」のダミアンのような子供だったのですね。彼は。
 ヘロデ王が死んだ後、聖家族はナザレというところに移り住みます。イエスはナザレで成長します。

 そのころイスラエルの地ではイエスに先だってある人物が説教をしていました。彼の名は「ヨハネ」。ヨハネは「まもなくメシヤが現れる。自分はその方の先触れなのだ。」と説いてまわり、人々に洗礼をほどこしていました。そこにナザレからイエスがやってきて、自分も洗礼してほしいと頼むのです。

 なぜ神の子がわざわざ人間に洗礼を受ける?聖書を読んだ限りではここらへんのくだりは唐突で、ちゃおちゃおのような素人には理解できません。
 ヨハネはこの希望に対して「私のほうこそあなたから洗礼を受けるべきですのに」などとへりくだってみせて、またよくわかりません。説教者としては明らかにヨハネの方が先輩です。本当はイエスはヨハネの弟子か何かだったのではないでしょうか。聖書には当然そんなことは書いてありませんが、まあいろんな事情があるのでしょう。
 
 こうしてヨハネはヨルダン川でイエスに洗礼をします。すると、あれ不思議。天が開いて「これは私の愛する子」という神の声が聞こえ、聖霊が鳩のようにイエスに下って来るのです。ここで神、聖霊、イエスという3者がはじめて一堂に会し、「三位一体」形成するのです。
 この場面も多くの画家によって描かれています。ヨハネは大抵、獣の皮でできた衣を着て、片手に長い十字架を持ち、もう一方の手でイエスの頭に水をかけています。十字架なんてまだ早いと思うのですが、絵的に必要なのでしょう。イエスの上には大抵聖霊の鳩ぽっぽが光りながら舞い降りてきています。その上から神様がのぞいている絵もあります。

 イエスはこのとき30歳になっていました。いよいよ救世主として活動を始めるときが来たのです。

 イエスに洗礼をほどこしたヨハネは「洗礼者」とよばれ、教会の多くの洗礼堂が彼の名を冠しています。フィレンツェの「サン・ジョバンニ洗礼堂」もその一つ。「ジョバンニ」とは「ヨハネ」のイタリア語読みなのです。

 

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