ちゃおちゃお的美術講座


「羊飼いの礼拝」
 「受胎告知」「聖母の訪問」などの後、やがてマリアは月満ちてベツレヘムでイエスを産みました。話が長くなるので省略しますが、旅の途中、しかも泊まる場所がなく、馬小屋でキリストは誕生します。
 「キリスト降誕」という名前で絵画に登場するシーンです。赤子のイエスにマリアが手を合わせているシーンなどが描かれます。

 神の子が生まれたというのに、まわりは馬や牛ばかり、お祝いをする人もいないと思いきや、ちゃんと呼ばれていたのでした。
 最初のお客は近くで羊の番をしていた羊飼い達です。彼らは天使たちに救い主が生まれたことを告げられ、さっそく拝みにやって来たのです。
 
「マギの礼拝」
 羊飼いよりもっと大物ゲストもちゃんと呼ばれていました。それが三博士(三王)です。彼らは東方の賢人で、星の動きをみて、救い主の誕生を察知し、拝みに来たのです。
 
 ところが、彼らはまず、イスラエルの王ヘロデのもとに行き、救い主が生まれたことをばらしてしまいます。ヘロデは自分の王位が危うくなるのを恐れ、神の子の殺害を決意し、三博士をスパイに使おうと企てます。彼は言います。「行ってその子供がどこにいるか見つけてほしい。私も拝みたいから。」

 三博士が神の子発見の旅に出ると、なんと星が彼らの先に立ちイエスのもとに先導します。馬小屋の中にイエスとマリアを見出した彼らは大いに喜び、ひれ伏して礼拝します。これが「マギの礼拝」と呼ばれる主題です。

 三博士はお土産もちゃんと持ってきました。金(きん)、もつ薬、乳香のはいった3つの箱です。これは「王」としてのキリストに金を、神としてのキリストに乳香を、いずれ十字架に架けられる運命に対してもつ薬を、という象徴的な意味があるのだそうです。

 イタリアでは1月6日にベッファーナという老婆が子供にプレゼントを持って来るという習慣がありますが、これは三博士が1月6日にお土産を持ってきたことに由来するらしいです。
そしてこの日でクリスマスシーズンは終わるのです。

 さて、礼拝を終えた三博士、晴れ晴れとしてヘロデ王に報告に行こうとします。イエス様ピンチ!でも大丈夫。天使が現れて、「ヘロデ王のもとに戻ってはいけない」と忠告し、博士らはスパイにならずに済んだのです。
 もしそうでなかったら、ユダに次いで、新約聖書中2番目の悪人呼ばわりされていたかも知れません。

 また天使はヨセフ達のもとにも現れ、危機が迫っているから逃げるように告げます。聖家族はあわててエジプトに避難にします。これが「エジプトへの避難」という主題で絵画になっているのです。

 ちゃおちゃおは、昔この話を聞いた時、「金のお土産なんてすごい。」と思いました。そこで宗教の先生に聞いてみました。「お土産の金はどうなったのですか?」 
 すると答えは、「エジプトに逃げる旅費になりました。」  
 ・・・なんだ、つまらん。 

 

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