ちゃおちゃお的美術講座


ユディト
 旧約聖書外典中の女性英雄。フィレンツェ共和国の象徴的存在だったそうだ。ヴェッキオ宮の「百合の間」に彫刻があります。(昔のガイドブックではこの彫刻はシニョーリア広場にある事になっている。移動したのか?)

 昔イスラエルのある町がバビロンの将ホロフェルスに包囲され、まさに落城寸前だった時、この町の寡婦ユディトは町を救うため単身ホロフェルスのもとに下りました。
 彼女は「町の占領方法を教えます」とかなんとかいってホロフェルスに取り入るのにまんまと成功。ユディトの美貌と教養ににすっかり参ってしまったホロフェルス将軍は宴会の時も、ユディトを傍にはべらせていました。

 そして深夜、ユディトは泥酔いして寝こんだ将軍の首を打ち落としてしまいます。その首を引っさげてゆうゆうと町に凱旋。一方バビロンの兵達は、朝起きてみると将軍の首がなくなってるって驚いて、慌てて退散してしまい、ここに町は救われるのです。

 だけどホロフェルスには気の毒な話ではあります。戦う前に闇討ちされてしまうのですから。

 ダビデといい、フィレンツェ人はよくよく「一発逆転」タイプの英雄が好きなのですね。

 ヴェッキオ宮にあるドナテッロの彫刻では、ぐったりとしたホロフェルスの体を引き上げて、今まさに首を打たんとしている姿が見られます。
 絵画などでは片手に刀を持ち、もう一方の手に首をぶらさげて凱旋する様子などが好んで描かれたようです。

 思うに、信仰よりも彼女の美貌が最大の武器だったのですよね。「寝首を掻く」という言葉は彼女から生まれた。(未確認)
 

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