フィレンツェ人物伝


ミケランジェロ・ブオナローティの「ちゃおちゃお的」10代の思い出

 みなさんは、その昔NHKで放映された「レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯」という海外連続ドラマをご存知だろうか。ダ・ヴィンチの出生から死までを丹念に綴った秀作であり、確かBBCが制作したと記憶している。ちゃおちゃおはこのドラマを観ることによりはじめてメディチ家とかロレンツォとかミラノのイル・モーロ公とかを知ったのであり、歴史的にも極めて重要な(?)ものであった。(遠い眼)
 そしてこのドラマにはミケランジェロももちろん登場していた。ドラマのミケランジェロはレオナルドの芸術上の敵対者で情熱的な結構格好のいい若者であった。権力を意に介さず、酔ってフィレンツェの美術委員会に怒鳴り込み「ダビデ」像をヴェッキオ宮の前に置くように委員達に熱弁を振るい、「アンギアリの戦い」の絵で失敗で落ち込むレオナルドを扉の陰からそっと見つめ「レオナルド、敵ながら天晴れなやつ」とつぶやくなど、なかなかイカす芸術家として描かれていた。
 
 それから数年後、ちゃおちゃおの学校の英語の教本はなんと「ミケランジェロの生涯」であった。1年間に渡って読んだこの本の中に描かれたミケランジェロ像は、しかしながら、数年前にドラマで見たものとは似てもにつかぬものでありました。何と言っても彼は見かけが不細工で人嫌いで陰気だったみたい。とても酔って美術委員会に怒鳴り込むような豪快な真似はしそうにない。とにかくその人生は憂いとあきらめに満ち満ちていて、本を読んでいても毎回イヤになるようなものだった。なんかメディチ家も嫌、システィーナ礼拝堂も嫌、フィレンツェも嫌だし、自分も嫌、という具合で若者心にも「この人は何で生きているんだろう」と思ったものだった。(おかげでこちらも英語の授業が嫌になってしまいました。なんせ10代の身としては「昼と夜」「ピエタ」なんて言われても全然実感なかったし...)
 覚えているのは彼は画家、彫刻家として極めて名声を博しているが、実は詩作も結構していたと言うこと。でもその詩も「ああ俺はなんで生きているんだあ・・・」ってなぐあいであった。
 
 そして、1年間の授業の結果、ちゃおちゃおの心のミケランジェロ像は「小男でぶっさいくで陰気だけど石彫りだけは上手なおじさんで、結構不幸で不本意な人生を過ごした。あとホモっけが少し?」という風に固まってしまったのであった。 

 これが若かったころのちゃおちゃおのミケくんに対する思い出です。みなさんはいかがですか。

 

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