オルサンミケーレ教会


     

この教会はカルツァイウォーリ通り沿いの、とにかくにぎやかな所にあります。しかし、そのわりに人目を引いていないようです。
あまり外観が教会っぽくないのもその一因でしょう。

もともと穀物市場だったこの建物は、14世紀に市場の移動に伴って礼拝堂として再活用されることになったのです。

教会の周囲の壁には当時のフィレンツェの各種組合が寄進したさまざまな守護聖人像(14体)が置かれています。

現在、写真のように修復のため取り払われているものも少なくありません。

     

これはその像の中の一つの「聖トマスの不信」。

聖トマスはキリストの復活をなかなか信じようとしませんでした。そこで復活したキリストが自分が十字架に掛けられたときの傷を見せ、やっとトマスが信じたという話をもとにしています。

ちなみに豊かな組合はブロンズ像を、そうでない組合は大理石像を寄進したのだそうです。

     
教会入り口はカルツァイウォーリ通り沿いにはありません。ぐるっと裏まで回るとあります。

入り口を入るとアーチ型の天井と天使の像が見えます。うーん、なかなかいい雰囲気です。

     

(写真左)正面左にある聖母子像。

(写真左下)壁に画かれた聖人像。多分聖ヨハネではないかと思います。

(写真下)教会の天井の様子。アーチの間に聖人、聖女の絵が画かれているようです。大きな鉄の輪があちこちにぶら下がっているのですが、何のためでしょうか?

     

堂内正面にある小神殿風礼拝堂
アンドレア・オルカーニャが10年がかりで完成したものです。すばらしい浮き彫りに全体が覆われています。本来は内部に聖母子像の祭壇画が納められています。
     

礼拝堂の裏側の浮き彫り。この部分はカルツァイウォーリ通りの扉から覗き見ることができます。
テーマは誰かの臨終(下段)とキリストの栄光(上段)のようですが、誰かは特定できません。
     
夜のヴェッキオ橋から。
ドゥオモのドームを手前から遮っているのがオルサンミケーレ教会です。こうやって見ると随分背の高い建物だということに気づきます。

   
この教会はとにかく便利な所にあります。外側の像をじっくり見ると面白いかもしれません。ただ、どの像が誰なのかという下調べは忘れずに。
堂内は結構暗いです。外が十分明るい時にちょっと寄ってみるのに最適です。