サンタ・マリア・デル・カルミネ教会(ブランカッチ礼拝堂)


 

この教会はサント・スピリト地区にあります。他の観光スポットとはちょっと離れているため、多少行きづらいです。

また教会にしては珍しく入場料を取ります。

しかしそれを補って余りあるものが中にあるのです。

   
入り口を入ったところにある回廊です。この建物はもともとは13世紀にゴチック様式で建てられました。

その後火事でほとんどを焼失し、18世紀に完全なバロック様式で再建されました。

     

これがこの教会の至宝「ブランカッチ礼拝堂」。幸運にも焼失を免れた部分です。

左側側面、正面の絵はマサッチョ、マゾリーノらに描かれ、ルネサンス期の多くの画家に大きな影響をあたえました。

絵のテーマは「聖ペテロの生涯」です。

右側側面はフィッリッピーノ・リッピによって描かれました。

真ん中の聖母子像も12世紀頃の物です。

     

左側側面部分。

一番左上に人間の「原罪」をあらわす「アダムとイブの楽園からの追放」が、その下に「牢獄の聖ペテロをたずねる聖パウロ」が描かれています。

「貢の銭」(中央上)はきわめて有名な絵です。

これは新約聖書の一場面をとったもので、登場人物一人一人がいきいきとした個性を持っているということで、当時の人々に大きな衝撃を与えたそうです。

     

また「貢の銭」の下の「アンティオキアの王子を蘇生させる聖ペテロ」もすばらしい構図の絵です。ちゃおちゃお推薦!

左のアダムとイヴの絵を美術や歴史の教科書で見た人も多いことでしょう。

実際、この一連の壁画が当時の絵画の教科書のようなものだったのです。後にルネサンスの芸術家として名を成す画家たちがまだ見習いの頃に、この聖堂に来て模写をし、絵の勉強をしたのでした。

     
右側面は大部分がフィリッポ・リッピによって画かれました。聖ペテロの奇跡と殉教の様子が描かれています。

一番右上の「アダムとイヴの原罪」はマゾリーノの筆によるものです。

     
サンタ・マリア・デル・カルミネ教会の周りは狭い道が多く、交通量も多く歩いていてあまり気持ちの良い所ではありません。位置も他のスポットからちょっと遠く、特に夏の暑いときなどはとても行く気になれないでしょう。
しかし、マサッチョの絵はそれらの問題を補って余りある感動を与えてくれると思います。ただし教会の他の部分は単なるバロックで、あまり感心しません。