サンタ・マリア・ノヴェッラ教会(附属美術館)


 

聖母マリアに捧げられたこのドメニコ会の教会の起源は、10世紀にさかのぼります。

修復のため閉鎖中ということだったので、出発前にホテルに問い合わせたところ12月15日には開く、との吉報が。

しかし、実際に行ってみたらこのとおり、入り口はかたく閉ざされていました。修復の終了はナターレの25日で、大いに落胆。

中にはマザッチョの「三位一体」やフィリッピーノ・リッピの「聖フィリッポと聖ヨハネ伝」などのフレスコ画があるのです。

       
でも、教会の西側の広大な修道院が教会美術館として公開されています。

ここは「緑の回廊」と呼ばれ、パオロ・ウッチェッロなどの15世紀の画家達による「創世記」のフレスコ画でぐるりと覆われています。

       

これは「アダムとイヴ」です。

有名な「ノアの洪水」などもありますが、保存状態が良くなく、剥落部分もかなりあります。

       
中庭に面した所に「スペイン人礼拝堂」があります。

もともとは聖堂参事会員室として1350年に建設されました。

16世紀のフィレンツェ大公国のコジモ1世の妃、エレオノーラ・ディ・トレドの随臣たち専用の礼拝堂として使用されたため、この名称になっています。

       

アンドレア・ボナイウーティの壁画「教会のアレゴリー」には、当時建設中だったフィレンツェの大聖堂の完成予想図が描かれています。
       
「ドメニコ会の勝利」には多くの白と黒のブチ犬が登場し、異端の象徴の狼や狐を退治しています。

ブチ犬はドメニコ会修道士の僧服を彷彿させますが、それもそのはず、「ドメニカーニ」とは「神の犬」という意味なのです。

       

主祭壇の左脇には、キリストが自らが架けられる十字架をかついでゴルゴダの丘に引き立てられて行くシーンが描かれています。
       
左から続いて、ここは「キリストの磔刑」です。

       

これは主祭壇の右脇。

十字架に架けられたキリストが、死後地獄に取り残された諸聖人達を助け出しに行ったという「キリストの地獄訪問」。

悪魔が扉の下でふみつぶされています。

       
天井にも壁画がびっしりですが、ご他聞にもれずあまり根をつめていると首が痛くなります。

「キリストの昇天」と思われます。

       

この礼拝堂は四面の壁、天井はもちろん、柱に至るまで隙間なくフレスコ画で埋め尽くされています。
       
ノヴェッラ教会本堂には残念ながら入れませんでしたが、「スペイン人礼拝堂」は必見です。
フランチェスコ会の拠点サンタ・クローチェ教会の「簡素さ」に対して、サヴォナローラに代表されるドメニコ会の「厳格な教理」が感じられ、両修道会のライバル意識が伝わってくるようです。

なお、2005年8月にサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の本堂を訪問しましたが、教会内部は全面撮影禁止となっていました。