サン・ジョヴァンニ洗礼堂


 

サン・ジョヴァンニ洗礼堂はドゥオモの正面に建っています。一見するとドゥオモの附属の建物のようですが、実はこちらの方が古いものです。

キリストを洗礼した「洗礼者ヨハネ」の名前をとった洗礼堂です。

八角形のクーポラ構造で、外装は白、緑の大理石で飾られています。 

昔の洗礼というのは、鉢の中で全身を水に浸したため、このような大きな洗礼堂が必要だったそうです。

     

この建物は、本体よりもその扉で有名です。

ギベルティの作った「北の扉」、「天国の扉」の前は人だかりが絶えません。

ギベルティとブルネレスキのコンテスト、そしてその後の大聖堂のクーポラ建築に至るまでの二人の確執は、フィレンツェの美術史を語る上で、そしてルネサンスを語る上で欠くことのできない一大エピソードで、ありとあらゆる歴史書、ガイドブックに載っています。

どの本もなんとなくブルネレスキびいきの気がしますが・・・。

今ある「天国の扉」はレプリカです。本物はドゥオモ附属美術館にあります。

     

礼堂は昔は無料で入れたのですが、今は有料です。入場するとまず目に入ってくるのが天井の大きなキリスト像(写真上)です。

天井のモザイクはキリストの栄光と旧約、新約聖書の有名な場面で構成されています。

写真上は
  • 上段:キリストの磔と十字架からの降下
  • 下段:洗礼者ヨハネの処刑の場面(牢屋から頭を引きずり出されているのがヨハネ、サロメが横にいるのが見えます)隣の絵は、ヨハネの首を皿に載せて見せている場面です。
     
洗礼堂の側面はドゥオモと同様、色大理石を組み合わせた幾何学模様で飾られています。四方に開けられた窓から入る光にモザイクが照らされて、大変に荘厳な眺めです。

モザイクといえばビザンチンですが、ここのモザイクはフィレンツェ人が意地を見せて自分たちで作り上げたものなのだそうです。

     

写真左上:洗礼堂内にある祭壇。後ろの幾何学模様がやはり独特だと思います。

写真上:祭壇の上のモザイク。中心にキリストを表わす小羊がいます。

写真左:堂内にある対立教皇ヨハネス23世の墓。ドナテッロとミケロッツォによって造られましたこの人はコジモ・ディ・メディチの相棒のような存在だったので、お礼にここに葬ることになったのです。

     

堂内の床。さまざまな色の石を丹念に並べて作られています。 

     
サン・ジョヴァンニ洗礼堂は扉だけではなく、中を一度ご覧になってほしいところです。聖書の有名なエピソードをモザイクで見ることができます。時間をかけて探すと楽しいものです。
ただ上ばかり見ていることになるので、頭が痛くなります。管理人一家は、ここで全員頭痛になりました。椅子に座って後ろの机にクッションでも置き、その上にもたれて見るのが正しい鑑賞法と言えましょう。鏡を使うのもグー。

残念ながら、ここ最近は修復中なのか中には入れないようです。(2004年夏確認)